「任意後見契約の本当のメリット~認知症対策~」

季節の変わり目で日々気温の差が激しいですね。
体調を崩さないようにお互い気を付けましょうね。

オギ法律事務所も2003年4月7日の開設から21年目に突入しました。
引き続き、多くの人を幸せにできるように、
頑張っていきたいと思います。

さて、本日は
「任意後見契約の本当のメリット~認知症対策~」
と題して、コラムを書いていきたいと思います。

まずはこちらをご覧ください。
京都市成年後見支援センターが発行している、
成年後見制度のうち任意後見制度についてわかりやすく紹介した
パンフレットです。

sukoyaka.hitomachi-kyoto.jp/seinen-kouken/pdf/ninikokenpanf_202303_2.pdf

まあ、正直なところ、読んでもピンとこないのではないかと
思います。

「公正証書で任意後見契約を行い、
判断能力が低下すれば家庭裁判所に任意後見監督人を選任して
もらわないと、
任意後見契約が始まらないの?
めっちゃ、めんどくさい~~~
さらにお金もめっちゃかかりそうやん
とりあえず様子見かな」

というのが、多くの方の率直な感想だと思います。

正直なところ、なるべくそう思われないように制度を改正することが
不可欠であるとは思います・・・

ただ、多くの任意後見制度に関する解説は、
任意後見制度の本当のメリットについて触れていません。
そのため、「任意後見やってみようか」という気持ちになれないのです。

私も最近ようやく気付いたので、
この「任意後見制度の本当のメリット」について書こうと思います。

人間、誠に悲しいのですが、
将来、年齢とともに、判断能力が低下する可能性があります。
そしてその最も大きな原因は「認知症」です。

認知症になった人間の一部は
財産について、以下のような傾向が出てしまいます。
(1)判断力が低下するため、お金をどんどん使ったり、盗まれるようなところに平気で置いたり、単純な詐欺や投資話にだまされてしまう。
(2)記憶力が低下するため、お金のことを覚えておらず、お金をどんどん使ったり、だれかに預けたことを忘れてしまう。

さらに、世の中、悪い奴がおりまして、
そういう認知症の人にうまいことつけこみ、
甘い言葉でお金を預かり、また暴力・暴言などで支配して
資産や収入からお金をどんどん奪っていこうとする奴がいるのです。
これがいわゆる「経済的虐待」です。

そうすると、認知症になってしまうと
〇自分でお金をどんどん浪費してしまってお金が無くなる
〇お金を盗まれたり騙し取られたりしてお金が無くなる
〇その結果、本来お金があれば受けることが出来るはずの
介護サービスを受けるお金すら無くなってしまい、
人生の終盤の大事な時期なのに、大変な生活を強いられてしまう
というリスクがあるのです。

さらに、認知症が進行すると、本当に悲しい話なのですが
他人のことを考えることが出来なくなってしまい、
他人に対し攻撃的・暴力的な言動を行ってしまうことがあります。
そうすると、今まで親しくしていた親族や友人などが一気に離れていきます。

一人での生活を余儀なくされるばかりか、
そのころには判断力もなくなっているので、
うまく福祉サービスにつなげてもらえず、
介護などもしてもらえず、かなりしんどい生活を
行うことになりかねないのです。

「孤独死」の問題がよく言われていますが、
個人的には「死」そのものよりも、
適切な介護サービスが受けられず認知症が進行した場合の、
「死ぬ直前の数か月間」が、とても辛そうに感じます。

ご飯も思うように食べられず、トイレなどもうまくできず、
部屋も散らかったまま、
どんな気持ちで過ごさなければならないのか、と思うと
正直なところ背筋が凍る思いです。

さて、これまで、認知症に伴う様々なリスクを説明しました。

では、
事前に任意後見契約を結び、信頼のおける専門家に
任意後見人を依頼しておくと、
どうなるでしょうか。

(1)財産面について

預金などを任意後見人が預かり管理することになります。
その結果、
認知症の症状に伴う無駄遣いや詐欺にあうこともなくなります。

もちろん、「財産をだまし取ってやろう」などという人も
もう近づいてきません。
近づいてきても、本人ではなく任意後見人が財産を預かっているので、
だまし取れるはずがないからです。

その結果、大事なお金を、
残りの人生における充実した介護サービス・福祉サービスの
実現のために
使うことが出来るのです。

(2)人間関係・生活面について

認知症が進行してしまったとしても、
任意後見人は、以前の本人の優しかったところ、素晴らしかったところを
覚えております。

ですので、親族・友人に対してもそのような説明を行い、
人間関係が断絶されることをある程度防ぐことが出来ます。

また、任意後見人は、専門家として、適切な福祉サービス
(在宅看護の充実、施設入所に向けた手続きなど)
すぐ実現していきます。

ですので、先ほど述べたような
死亡直前の悲惨な数か月間を過ごすことも
なくなります。
人生の黄昏時を、穏やかな気持ちで、思い出を胸に過ごせる
可能性が高くなるでしょう。

まとめますと、
「任意後見契約の本当のメリット」
とは
「認知症などによる辛い人生を避けられる」
ことなのです。

このことを、きれいな言葉でいえば
先ほどのパンフレットのような
「将来に備えたい」「判断能力が低下したときに備えたい」
ということになるのでしょう。

オギ法律事務所は、
公正証書の作成も任意後見人の候補者としての業務も
行っております。

認知症が怖い方、
身近に認知症のおそれのある方などについては、
是非、任意後見の利用について
当事務所にご相談いただけますと幸いです。
(「このコラムを見た」と言っていただければ、法律相談は
 30分無料でさせていただきます)

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