裁判員を辞退したい場合

「裁判員を辞退したい方へ」

(「裁判員候補者の通知が来たけど、裁判員になりたくない」はこちら

1.(はじめに)

私は、京都弁護士会の弁護士の荻原卓司と申します。
よろしくお願い致します。

さて、平成21年5月21日から、「裁判員制度」が始まり、現在、本格的に運用されております。
裁判員とは、簡単に言えば、一般市民から選ばれた方々が、重大な刑事事件(殺人、強盗致傷など)につき、平日の3日間あるいはそれ以上の日数、裁判官と共に(裁判官3名、裁判員6名)刑事事件の審理を行い、有罪・無罪の判断及び量刑(懲役○○年など)の判断を行う制度をいいます。もちろん、刑事事件に一般市民が参加することは、大きな意義を有します。(詳しくは割愛します)

しかし、お仕事や育児・介護など、多忙な日常生活を送っておられる一般市民の方々が、刑事事件の審理のために、3日以上の日程を空けるのは、通常は困難です。また、重大な刑事事件の審理においては、きわめて残虐な記録や証言にも触れなければならず、精神的に大きな負担がかかるのも事実です。ですので、「やりたくない」と思っておられる方も、きっと多くおられることでしょう。
私の周りにも多いです。

そのような方々に、無理に、意思に反して、裁判員の負担を押し付けることは、国家機関の行うべきことではないと思います。
やりたくない方は、辞退への道を、認めるべきです。

このように、私の立場は、「裁判員は、なりたい方がなればいい。裁判員になりたくない人は、辞退する道を切り拓くべきである」というものです。

しかし、現在の裁判員制度に関する準備状況を見る限り、なりたくない人に、辞退への道が保障されているとは、いえない状況です。

そこで、私は、どうすれば多くの方が裁判員を辞退することができるかを考えこのページを開設することに致しました。

2.(このページの目的)

このページは、裁判員を辞退するための具体的な方法につき、私が考え、裁判員を辞退したいと考えている方々へ提供することを目的とするページです。裁判員になりたくない方は、是非、このページを存分に活用されて、裁判員への道を回避し、他の時間を有効に活用できることをお祈りいたします。

3.(呼出状が来た!)

では、ここから、2009年5月1日以降、具体的に、地方裁判所から、裁判員候補者として呼出状が来た場合について検討いたします。(なお、裁判員候補者となった場合は、必ず呼出状が郵送されます。この呼出状が来ない限り、裁判員になることはありません)

まず、重要なことは、この時点で、裁判所に対し、「私は裁判員になる意思はありません。辞退させてください。呼出自体を取り消してください」という意思をはっきりと示すことです。

呼出が取り消されれば、呼出状に記載された日時に、裁判所に行く(出頭する)必要もなくなります。

もっとも、意思を示せば確実に裁判員候補者からの辞退が認められるとはいえません。現状では、辞退の要件を満たすと判断するかどうかは、裁判所が決定するからです。しかし、何もしないよりも、確実に、裁判員の辞退への道は広がります。何もしないよりも、辞退が認められる可能性が、格段に広がるからです。

そこで、私は、なるべく簡単に作成でき、かつ、辞退の意思をより明確に、法律の規定に基づいて裁判所に示すことができるよう、「裁判員候補辞退申出書及び呼出取消を求める上申書」(以下「辞退申出書・上申書」といいます)を、作成いたしました。

4.(辞退申出書・上申書の説明・書き方)

当職が作成した辞退申出書・上申書の原案、及び記載例は、こちらの通りです。
(右クリックして「ファイルに保存」されることをお勧めします)

辞退申出書・上申書(PDFファイル)

記載例1(疾病等を理由に辞退を希望する場合)(PDFファイル)

記載例2(育児・介護を理由に辞退を希望する場合)(PDFファイル)

記載例3(仕事上の理由で辞退を希望する場合)(PDFファイル)

呼出状が到達した後は、名簿からの消除の理由として認められていた理由(=重い疾病・ケガ)のほかに、簡単にいうと、育児・介護の必要性が高いと裁判所が判断した場合や、仕事を他の者に任せると甚大な損害を被ると裁判所が判断した場合にも、辞退が認められます。
この点を踏まえ、育児・介護の必要性と、仕事の必要性を裁判所にアピールできるように、書式を工夫いたしました。
その結果、少々長くなりましたが、ご了承いただきたく存じます。

また、私は、自己の意思で裁判員を辞退したい方に対し、裁判員への就任を強制することは、憲法13条(幸福追求権)、18条(苦役の強要の禁止)、19条(思想・良心の自由)に違反すると考えております。そのため、裁判員法を、憲法の趣旨に従って、正しく解釈すれば、自己の意思で裁判員を辞退したいという点も、辞退理由ないし名簿抹消理由として認められるはずです。

私の作成した辞退申出書・上申書の文案は、そのような考えに基づき、作成したものです。

5.(具体的な作成方法)

※注意点
辞退申出書・上申書に虚偽の事実を書くことは、法律上禁止されています。
違反した場合、刑罰ないし過料の制裁があります。
回答者に関する事実が、下記記載例に記載されている事実と異なる場合は、必ず、回答者の事実に合致するように、記載内容を修正して作成し、提出してください。

以下の手順に従い行っていただければと存じます。

(1)上記の「記載例」を参照に、辞退申出書と上申書を作成します。
  なお、裁判員を辞退したい場合であっても、この書類を作成・提出しないと、呼出状が取り消されず、法律上出頭義務が課されたままになります。
(2)この辞退申出書と上申書を作成して、
  呼出状に記載された地方裁判所に送付します。

先ほども述べましたように、この書類を提出すれば、必ず裁判員の辞退及び呼出を回避できるとは
限りません。

しかし、何もしない方よりも、確実に裁判員になる可能性は、減少すると思います。

ご覧になった皆様のご多幸を祈念致します。
それでは、失礼します。

6.(問合せ先)
075-646-1800
オギ法律事務所 弁護士  荻原卓司
(なお、多忙時は電話が繋がりにくくなり、また、回答が遅れることがございますので、あらかじめご了承ください)

「裁判員候補者名簿の通知が来たけど、裁判員になりたくない」

➫「裁判員を辞退したい方へ」はこちら

1.(このページの目的)

このページは、裁判員を辞退するための具体的な方法につき、私が考え、裁判員を辞退したいと考えている方々へ提供することを目的とするページです。

2.(裁判員候補者通知が来た!)

では、ここから、今年、最高裁判所から、裁判員候補者通知が来た場合について検討いたします。

まず、重要なことは、この時点で、裁判所に対し、「私は裁判員になる意思はありません。名簿から削除してください」という意思をはっきりと示すことです。

意思を示せば確実に裁判員候補者名簿から除外される、とはいえません。現状では、裁判員候補者名簿から抹消するかどうかは、裁判所が決定するからです。
しかし、何もしないよりも、確実に、裁判員の辞退への道は広がります。
何もしないよりも、名簿からの抹消の可能性が生まれるからです。

3.(回答票の書き方)

そのような点も踏まえ、私は、裁判所への回答票の書き方の一例(ひな型)を作成いたしました。

候補者の方が
(1)重大事件の審理に関わることにより多大な精神的苦痛を感じる方(おそらく日本国民の多くが該当すると思います)
(2)自己の意思で裁判員を辞退したい方であることを想定して、作成したものです。

このうち、(2)の事由は、
裁判員法の条文上は、辞退理由ないし名簿抹消事由には該当いたしません。
ただ、自己の意思で裁判員を辞退したい方に対し、裁判員への就任を強制することは、憲法13条(幸福追求権)、18条(苦役の強要の禁止)、19条(思想・良心の自由)に違反します。
そのため、裁判員法を、憲法の趣旨に従って、正しく解釈すれば、自己の意思で裁判員を辞退したいという点も、辞退理由ないし名簿抹消理由として認められるはずです。

下記ひな型記載の文案は、そのような見地から作成したものです。

【記載例】(右クリックして「ファイルに保存」されることをお勧めします)

回答票別紙ひな型(PDFファイル)

4.(具体的な作成方法)

※注意点

回答書及び回答書別紙(裁判員候補者名簿消除申出書)に虚偽の事実を書くことは、法律上禁止されています。
違反した場合、刑罰ないし過料の制裁があります。

回答者に関する事実が、回答書作成要領及び上記ひな型に記載されている事実と異なる場合は、必ず、これらの記載を、回答者の事実に合致するように、修正したうえで、提出してください。

以下の手順に従い行っていただければと存じます。

(1)最高裁判所から送られる回答書記載要領を参考に、回答票を作成します。
  なお、裁判員への就任を希望しない場合であっても、この回答票を提出しないと、自動的に名簿に登載されてしまいます。
(2)回答票の別紙を作成します。(作成要領を参照してください)
  必ず、回答者に関する事実に合致する□にチェックするようにしてください。
  書き加えたいことがあれば、さらに別紙を追加して書いても良いでしょう。
  捺印を忘れずにお願いします。
(3)回答票と回答書別紙を併せて最高裁判所に送付します。

先ほども述べましたように、この書類を提出すれば、必ず裁判員への呼び出しを回避できるとは
限りません。

しかし、何もしない方よりも、確実に裁判員になる可能性は、減少すると思います。

ご覧になった皆様のご多幸を祈念致します。
それでは、失礼します。

6.(問合せ先)
075-646-1800
オギ法律事務所
弁護士 荻原卓司
※多忙時は電話が繋がりにくくなり、また、回答が遅れることがございますので、あらかじめご了承ください