葬儀費用ってどうやって準備すればいいの?

(2025.4.8コラム)

お世話になっております。

オギ法律事務所の荻原です。

ようやく暖かい季節が近づいてきました。

振り返ると昨年は夏からいきなり冬になったような気候で

あまり秋を感じられなかったので、

今年は春を長く感じるような気候になってくれればと思っております。

さて、今日は、少し重めのテーマですが、

相続に当たって重要な話である

「葬儀費用ってどうやって準備すればいいの?」

というテーマで、コラムを作成したいと思います。

突然の家族の死により

悲しみと、どうしたらいいかわからないという呆然とした気持ちなど

いろいろ入り混じっている中、

葬儀の準備をしていかなければなりません。

亡くなられた方

(以下「被相続人」といいます。この用語は相続でよく使います)

のため、葬儀を行う葬儀費用について

どのように用意すればよいか、検討したいと思います。

1.被相続人名義の預金から引き出すのは避ける。

意外、と思われた方も多いかと思います。

「え?葬儀費用も当面の支払いも必要だし

 引き出さないとお金が足りなくなる」

と感じることと思われます。

しかし、原則として、被相続人の預金は

相続人全員の協議に基づき相続するものです。

ですので、たとえ葬儀費用の支払いであっても、

合意がないまま、単独で引き出してしまうと、

後々トラブルのもとになってしまいます。

そればかりか、被相続人に借金・債務が多いことが

後日判明した場合、

預金を下ろしてしまうと、下ろした人は

「法定単純承認」とみなされ、

もう相続放棄できなくなってしまう=借金を相続する

ことにもなりかねないのです。

きわめてリスクの高い方法ですので、

避けることをお勧めいたします。

2.理想は「親族で協議して支払う」こと

私としては、葬儀は亡くなられた方を見送る親族の儀式であるため、

葬儀費用はもともと葬儀を実施した親族が

費用を話し合って分担して負担するものであり、

被相続人の遺産から支出するものではないと考えております。

(多くの裁判例も同じ考え方です)

ですので、理想としては、親族が費用を出すことをお勧めいたします。

3.どうしても葬儀費用を被相続人の財産から支出したい場合

この場合は、被相続人に債務がないか少ないことを確認したうえで、

法定相続人同士で、

「葬儀費用はいったん○○が立て替え、

その立替金を後日被相続人の遺産から

取得する」という取り決めをしておく方法が考えられます。

いったん立て替えるという負担はありますが、

被相続人の財産から葬儀費用を支出することができます。

4.遺言を作成しておく

ここまでは残された家族の視点から検討しましたが、

ここからは自分の葬儀費用について

残された家族に負担をかけたくないと考える方の視点から検討していきます。

例えば、自分に子A・B・Cがいて、B・Cは疎遠で

Aが葬儀を執り行うことになりそうだが

葬儀費用は自分の遺産から支出してほしいと考えている方がいるとします。

しかし、何もしなければ、法律上、葬儀を主催したAが葬儀費用を

負担することになります。

私も書いていて少し不合理さを感じますが

多くの裁判例によるとこうなります。

ですので、生前に何か対策をしておく必要があります。

最も効果的なのは「葬儀費用は私の遺産から支出する」という

遺言を残しておくことです。

公正証書遺言でも自筆証書遺言でもいずれでも構いません、

こうしておくことで、将来の子らの争いや不合理な負担を

回避することができます。

また、遺言作成にあたり、葬儀費用の他にも相続内容を決めることができる

メリットがあります。

遺言の文案作成はご自身でも他の士業でも弁護士でも可能ですが

弁護士ですと争いを想定して争いを回避する内容の遺言を作成することが

できますので、

争いが想定される場合は弁護士に遺言の文案作成を依頼されることをお勧めいたします。

5.葬儀費用をあらかじめ預けておく方法

遺言よりももっと簡便な方法として

「生前に誰かに葬儀費用を預けておく」方法があります。

先ほどの例でいえば、Aに葬儀費用(例えば100万円)を預けておき、

この預かり金は葬儀費用に使ってほしいという合意を行っておく方法です。

文書に残しておくと、なお良いです。

こうすることによって、死後、Aは被相続人の意思に基づき

預り金を葬儀費用に用いることができますので、

葬儀費用の負担をめぐる争いは回避することができます。

この5.の方法が広く知られてほしいと

考えております。

6.(葬儀会社と事前に契約を行い費用も委託しておく)

根本的な解決方法として

死亡前に葬儀会社と葬儀の方法について合意し

葬儀会社に支払っておく方法がございます。

(ただ、この方法は、葬儀会社が倒産してしまった場合のリスクもございます)

以上が、「葬儀費用ってどうやって準備すればいいの?」

という回答になります。

人間、みな(私も)いつかは死を迎えます。

その時に備え、できることを準備しておくことも

是非、ご検討いただけますと幸いです、

もちろん、私もそのお手伝いをさせていただけると嬉しいです。

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