「お金を渡す前に弁護士に相談を!~詐欺の被害に遭わないために~」
(2025.5.26投稿)
この5月、日中と朝夕の気温の差が激しく
体調管理が難しい日が続いております。
皆様も体調を崩されないようにお気をつけ願いたく存じます。
私も生活リズムがかなり乱れているので、
睡眠を重視して過ごしたいと思います。
さて、今日は
「お金を渡す前に弁護士に相談を!~詐欺の被害に遭わないために~」と
題したコラムを書いていきたいと思います。
最近、本当に詐欺の被害の事案に多く接しており
被害回復も実現しづらい状況で
正直なところ立腹しております。
そこで、このコラムでは
多くの方が詐欺の被害にあわないように
詐欺の主なパターンを紹介し、対処法を説明したいと思います。
- 高齢者・以前の詐欺被害者狙い打ちパターン
このパターンはとにかく判断力の弱い方を狙い打ちして
ターゲットにします。
どこからか流れた顧客リストを基に
海外か国内の良くわからない会社の事業などを紹介し
「出資しませんか」「限定20名様まで」「高配当が見込めます」
「元本保証」などと担当者が勧誘し
お金を振り込ませたり、仮想通貨を購入して送らせます。
この種の詐欺の特徴は、
話もめちゃくちゃで難しく、単純に考えれば「ばかばかしい」としか
思えない根拠もない投資の話なのですが
詐欺をする方からすれば、お金払ってもらえればなんでもいいので
強引に進めてくるのです。
この種の詐欺に対し
被害を防止するための最も効果的な方法は
成年後見制度の利用です。
(親族や専門職に財産を預かってもらう方法です。
当事務所は数多く担当しております)
ただ、現実的には、利用のハードルが高いためなかなか利用が進みません。
親族や支援者のアドバイスもなかなか聞かないことがあるので
被害が防止できない面もあります。
何とか防止したいので、方法を考えてみます。
親族や支援者の方から、普段から、
「もし、『お金払ってくれたら増やせるよ』などの話が来たら、
お金を払う前に一度プロの弁護士に相談して
本当にお金を支払ってよいか聞いてみようね」
と声掛けすることが効果的かと思います。
(なお、弁護士と顧問契約を結ぶと最も効果的です。
個人ですと月々5500円~です)
そして、もし、お金を支払いそう、という様子が見られれば、
是非弁護士への相談を強く勧めてほしいです。
勧め方としては
「なんてことしようとしてるの!」と責めるのではなく
「弁護士に聞いたらお金払っていいかどうか教えてくれるよ」と
その人の相談に行くメリットを強調する進め方が良いと思います。
もちろん相談先は消費生活センターや法テラスでもOKです。
(ただ、これらの相談機関は順番待ちの可能性もあります)
- SNS(ソーシャルネットワーク)や携帯広告での勧誘パターン
最初は、あからさまに詐欺的なものだと表示せず
「財産の投資方法を学んでみませんか。完全無料」などと
ソフトな表現で広告しています。
そして、問い合わせがあれば、
まず個人情報を送信してもらって、
そこから「このようなすごい仕組みがあって、配当ももらえる」と
勧誘する方法です。
先ほど述べ忘れましたが
お金を集める詐欺(ポンジ・スキームといいます)の特徴として、
最初の数回は本当に配当や利息を払うんです。
そして信用させ、発覚や返還請求を遅らせ、あわよくば
さらにお金を出させようとするのです。
この行動に多くの方は騙されてしまいます。
このような詐欺のパターンは
本当に有益な投資なのか、詐欺なのか
判断に迷うところがあります。
ですので、事案分析の能力に秀でた弁護士の分析が大きな力を発揮します。
「詐欺ではないか」と思わなくても
「投資先が倒産するリスクを判断してもらおう」という程度の気持ちで
お金を支払う前に弁護士に相談されることを
お勧めいたします。
必ず「来ておいてよかった」という結果になります。
- 同じ団体に属する友人などからの紹介
特に経営者団体関係で本当に多いようです。
例えば同じ団体に属するAさんがBさんに
「私もやって儲かっている。だからあなたも是非」などと勧誘し、
詐欺を行う実行者(Cさん)を紹介するものです。
この場合、Aさんも騙されています。信用しきっています。
場合によっては勧誘したらCさんからいくらかお金をもらえる場合も
あります。
ですので、Bさんへの勧誘をとても熱心に行います。
Bさんも、今までの団体の活動でAさんを信用しきっているため、
特に疑うことのないまま、Cさんを紹介してもらい
詐欺の被害にあってしまうのです。
そして被害が拡大してしまいます。
ここで大事なことは
「お金のことは人間関係と別に判断してよい。判断すべき」
ということです。
どれだけ経営者団体などで仲が良くても
お金のプロではございません。
ですので、話を信用して、話に乗ってしまうことは、本当に危険なのです。
お金のことは、プロである弁護士の助言を聞くことが
有効です。
決して、Aさんを裏切ったりするような行動ではございません。
- 最後に
一旦詐欺業者にお金を支払ってしまうと
自分たちで使ってしまい、あるいは詐欺の運営に充ててしまい
すぐなくなります。
「ない人からは取れない」というのが今の日本の法制度ですので、
詐欺の被害金を取り戻すことは極めて困難です。
今や、詐欺の実行者やそのグループは詐欺罪で捕まったり
刑務所に入ることをもう恐れていないようですので、
「警察にいう」というのも被害回復の交渉の材料にならないことが
多いです。
どうか、取り戻せない事態になってしまう前に
お金を払う前に
「念のためちょっと聞いてみようか」という意識をもって
弁護士に相談されることを、強くお勧めいたします。