他に相続人がいるかもしれないの? ~法定相続人の種類と調査方法~
(2022.12.21)
一気に冬が来ましたね。
ここから年末まで毎年怒涛の速さで過ぎていきます。
オギ法律事務所は今年から郵送での年賀状を原則として廃止しましたが、
出さないとなると一抹の寂しさを感じます。
ホームページなどではWeb用の年賀状を掲載しようと思いますので、
是非、新年にはそちらをご覧いただけますと幸いです。
さて、本日は
「他に相続人がいるかもしれないの? ~法定相続人の種類と調査方法~」
と題して、コラムを書きたいと思います。
今まで一緒に過ごした大切な親族との別れ、
とても悲しい時間ですが、
併せて、相続手続きを行っていかなければなりません。
金融機関は、被相続人と相続人全員の戸籍謄本を求めてきます。
不動産がある場合は相続登記も必要です。
「相続人は配偶者しかいません」といくら口で説明しても
戸籍謄本などの資料を必ず求めてきます。
相続人を確定させて、
相続関係を示す資料を添えて、
手続きを行っていく必要があります。
一体、どのように進めていけばよいのでしょうか。
1.相続放棄するかどうかの決定
まず、相続放棄を行うか、
相続を承認する(通常の相続を行うこと。「単純承認」といいます)かを
決めることが重要です。
今後の手続きが、全く異なってくるからです。
相続放棄を行う場合としては、
○被相続人の財産よりも借金が多いこと
(相続すれば財産も借金も相続します)
○被相続人の財産等につき相続を望まないこと
○他の相続人に多く相続させたい場合
などがあげられます。
○他の相続人に多く相続させたい場合
について解説いたしますと、
相続放棄の場合、相続人にならなかったことになります。
ですので、例えば第1順位の法定相続人(子)が全員相続放棄をした場合、
第2順位の法定相続人(父母・祖父母)または
第3順位の法定相続人(兄弟姉妹)が相続人になります。
ですので、たまに聞く失敗例ですが、
夫が死亡し、相続人が妻1名、子2名の場合
妻1名にすべて相続させたいと考え、子2名が相続放棄してしまうと、
結局、夫の父母・祖父母または兄弟姉妹が相続人になってしまいます。
話を戻しますが、相続放棄をする場合は、
相続人が誰かを調査する必要はございません。
被相続人と相続人との関係がわかる戸籍謄本、
被相続人の死亡の事実がわかる除籍謄本など必要書類を揃えて
出来るだけ速やかに、遅くとも死亡後3か月以内に
家庭裁判所に申述の手続きをしていただきたく存じます。
(死亡後3ヶ月を経過していても相続放棄が可能な場合がありますが
これはまた別の機会に書きますね)
なお、当事務所にご依頼いただけた場合は、
着手金33,000円(消費税込)+実費(2000円~15000円程度)で
戸籍の取り寄せと家庭裁判所の申述を代理致します。
2.単純承認する場合の相続人調査の必要性と方法
(1)単純承認する場合(
この場合、預貯金や不動産の相続手続きにおいては、
「被相続人の相続人は、あなた以外に〇〇、〇〇・・・がいること
(またはあなたのみであること)」
を証明する戸籍謄本類が必要になります。
(2)そこで、まず、法定相続人は誰か、を解説いたします。
法定相続人は、配偶者と
第1順位 子(死亡している場合は孫、曾孫)
第2順位 直系尊属(現実的には父母・祖父母)
第3順位 兄弟姉妹(死亡している場合はその子)
です。
そして、ここにいう法定相続人には、
血のつながりのある親族であれば、前妻の子など、
現在は関わり合いのない親族も含まれます。
さらに、養子縁組を結んだ養子や
その養子縁組に基づき生じた養親関係も含まれます。
そのため、法定相続人を調査するためには、
まず、被相続人が、過去に結婚や出産、認知、養子縁組などを
行っていないかどうか調べるため、
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せることになります。
そうすると、過去の結婚歴や認知歴、養子縁組の事実などが
明らかになることもあります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せた後は
(1)子が生きており相続を承認する場合
(2)子・孫が死んでいるか、子がいないか、子が相続放棄をした場合
によって、調査方法が大きく異なってきます。
(1)の場合は基本的にこれ以上の相続調査は不要ですが、
(2)の場合、次に父母、祖父母の生死を調査する必要があります。
父母、祖父母の昔の戸籍謄本を取り寄せていくことになりますが、
すでに残存していない場合も多く、
この場合は残存していないという証明書を役所に発行してもらうことになります。
父母が死亡していても、祖父母が生存している場合、祖父母が相続人になりますので、
祖父母の生死の調査も必要になります。
そして、父母・祖父母の相続人がいない場合
兄弟姉妹及びその子の調査になります。
ここまで行くと極めて調査が煩雑になります。
しかし、相続人が誰かを確定させないと
相続手続きが何も進まないことになりますので、
何とか調査していく必要があります。
オギ法律事務所は、
このようなややこしい相続調査や、相続調査後の他の相続人との交渉についても相談や受任が出来ます。
「弁護士はいつでも使えるジョーカー」
相続の職務は司法書士、行政書士もできますが、
弁護士でもできますし、高額でもございませんので
(必要であればお見積もりいたします)
お気軽にお問い合わせ、ご相談願えますと幸いです。
2022年度のコラムはこれで最後になります。
本年も誠にお世話になりました。
来年も、何卒、よろしくお願いいたします。