法律相談のタイミング ~えっ、そんなに早く相談に行った方がいいの?~(2022.7.13ブログ)
コロナの感染者数が増えてきました。
室内でのマスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、
手洗いうがいの実行など、
当たり前のことに気を付けていきたいですね。
さて、今日は
「法律相談のタイミング ~えっ、そんなに早く相談に行った方がいいの?~」
という内容でコラムを書いていきます。
法律相談に行くのは早ければ早い方が良いというのは
よく言われることです。
ただ、もしかすると、
「弁護士に相談するのは最後の最後の手段だし・・・」
「こんな状態で相談しても証拠もないし相手にされないのじゃないかな・・・」
「法律相談だと30分で5500円するしなあ」
「まず自治体の無料相談にしてみようか」
などと様々な考えを持たれ、
結局相談を後回しにされる方もいるのではないかと
思います。
そこで、いくつかの具体的な事案について
私の理想の法律相談のタイミングを
今から述べていきたいと思います。
なお、私の個人的な見解であり、
他の弁護士の方とは異なるかもしれません。
その点は、ご了承願いたく存じます。
(1)貸したお金が返ってこないとき
×「自分で請求したけれども返ってこない時点」
△「期日を過ぎても返してもらえない時点」
○「期日を過ぎる前」
◎「お金を貸す前」
個人がお金を貸すということは返済不能のリスクが極めて高いです。
他の借金の返済に充てられたりして無くなってしまい、
返済期日までに用意できない可能性が高いからです。
是非、お金を貸す前に、本当にお金を貸していいのか、
また貸す場合の借用証書の書き方などについて
ご相談頂けますと嬉しいです。
(2)交通事故による損害賠償を求めたい場合
△「症状固定後、保険会社の担当者と示談交渉がうまくいかない時点」
○「交通事故により治療中」
◎「交通事故後、痛みが少し治まり法律相談を行うことが可能になった時点」
早めに弁護士に相談することによって、
保険会社の担当者とのやり取りや、通院の方法について
将来の示談交渉に向けたアドバイスが可能になります。
また、弁護士特約に加入している場合、早期に弁護士に依頼することにより
保険会社の担当者との連絡の負担を軽減することができます。
(3)相続が発生しそうな場合
△「相続人間で話がつかずに遺産分割調停が申し立てられた時点」
△「相続人間で協議ができない時点」
○「被相続人が亡くなり四十九日が経過した時点」
◎「被相続人が亡くなる前だが相続人間でトラブルが生じるかもしれないと感じた時点」
相続手続きは、要は、被相続人の財産を法律に基づき分配し、かつ
全員がなるべく損をしない方法を考えていく手続きです。
ですので、争いが激化する前に、円満に協議して解決した方がいい手続きです。
是非、争いが激化する前に相談し、
事案に応じた適切な方法に関するアドバイスを得ることを
お勧めいたします。
(4)借金の返済が困難になった場合
×「給与やボーナスなどで返済できなくなり、親族からの援助も得られなくなった時点」
△「支払いが苦しいと感じた時点」
○「借入を行った時点」
◎「生活費が不足し借入を検討しなければならなくなった時点」
×の時点まで相談を伸ばしてしまうと、それまで心理的にも苦しいですし、
取れる手段も限られてしまいます
(特に住宅ローンを延滞してしまうと持ち家を失う危険があります)
是非、まだあと数カ月はなんとかなるくらいの時に
相談にお越しになることをお勧めします。
(5)離婚を検討する場合
×「離婚したが離婚後の紛争が泥沼になっている場合」
△「離婚調停中」
△「別居され、相手方から離婚の条件を突きつけられているとき」
○「離婚を決意した時点」
◎「夫婦生活が辛くなってきた時点」
離婚後は、基本的にどうしようもなくなる場合が多いです。
幸せな人生になるための多くの選択肢がある段階で
早めに相談されることをお勧めします。
離婚するかどうかは弁護士が決めることではないですが、
弁護士に相談することによって問題が整理でき
離婚するかどうか決めることができる場合も多いです。
(6)遺言の作成を検討する場合
△「字を書くことができなくなった時点」
△「遺言の内容を決めた時点」
○「遺言を書こうかな、と考えている時点」
◎「遺言を書いたほうがいいかどうか考えている時点」
遺言作成は、実はかなり時間がかかります。
自筆証書遺言は内容の確定と清書の時間、
公正証書遺言も内容の確定と書類を集める時間が必要です。
遺言は何度でも新しいのが作成できますので、
まず「考えてみる」「作ってみる」ことが大事だと考えます。
最後は、簡単な場合で締めたいと思います。
(7)裁判所・弁護士から書面が来た時
×「自分で対応したがどうにもならなかった場合」
×「しばらく放っておいたが不安になってきた場合」
◎「書面が来た直後」
裁判所・弁護士から書面が届くときは
ご自身の権利関係を脅かされている場合が多いです。
ですので、書面が来た直後の相談をお勧めします。
(特に早急な対応が必要な場合が多いので
自治体の無料法律相談ではなく、法律事務所での相談をお勧めします)
封を開けずに持ってきてその場で弁護士に読んでもらい
その場で解説してもらうくらいでもいいと思います。
以上が、私の考える「法律相談のタイミング」です。
かなり早めの相談が効果的であることが
少しでも伝わったのであれば嬉しいです。
もちろん、上記の△や×の時点でも、弁護士に相談することによって
良い解決方法があるときもありますので、
この時点になっていたとしても、是非お越しくださいね。